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ギャン

1.時間×価格で作る正方形の概念

ひと頃、ギャンに関する研究書が書店に溢れていた時期がありました。馴染みのない人にはただでさえ幾何学的で嫌だというチャートに、さらに幾何学的な模様、何本もの直線をひいて混乱させ、テクニカル分析とは数字遊びか、もしくは数学の問題集のようなもの、とのレッテルを貼るのに一役買ったようにも思います。

ギャンが駆使する分析手法の解説は、本人による解説が世に残されていないためか、その解釈が正解かどうかを知る術がなく、どの研究がもっとも使用に耐えうるかを判断するところから始まるという、異色のテクニカル分析です。
ここでは、テクニカル分析に関しては日本でも有数の学者である林康史氏編著による「ギャンの相場理論」をベースに、解説を展開します。

ギャンを理解するにはまず、時間推移と価格推移の長さを一致させるところから始まります。
出来る限り過去に遡って、歴史的高値と歴史的安値を表示させます。
その高値と安値を結んだ線が、対角線となった正方形をイメージします。
下のチャートでは、バブルの頂点からの日経平均株価が表示されていますが、その高値と、(直近よりも1つ手前の)安値を結んだ対角線をベースに、四角形が描かれています。
本来は、この四角形が正方形になるように、時間軸の表示を伸ばす作業が必要となります。
しかし、あえてそうせずとも、この長方形を正方形としてとらえればよいのです。

これだけの長さのトレンドが終わるまでに、これだけの時間がかかった、という価格と時間の距離を、視覚的にも同じくすることで、ギャンは相場に数学的な美しさを求めたといえます。
長方形でも構いませんが、正方形であったほうが、視覚的に(直感的に)ジャッジメントできる利点があるとは思います。

ギャンは、トレンドの周期を大切に扱っていました。
それを強く認知できるチャート描画の方法が、トレンドの価格と時間の長さを一致させるというものだったのです。
トレンド解析の基本となるこの正方形は、1×1といいます。

2.リトレースメント

ギャンは、ヒストリカル・トップや、ヒストリカル・ボトムが抵抗線(抵抗領域)、支持線(指示領域)として、重要な意味をもつと考えていました。
ギャンに限ったことではなく、高値を抜く抜かない、安値を切る切らないといった相場の目安は、投資家であれば多くの方が気にするところでしょう。
ギャンは、その高値・安値のちょうど半分、1/2の価格などを重要なポイントと捉えて、リバウンドの目安、つまり押し・戻りの到達水準を予測するために、リトレースメントを利用していました。

リトレースメントに使う比率は
7/8=87.5%
6/8=75.0%
2/3=66.7%
5/8=62.5%
4/8=50.0%
3/8=37.5%
1/3=33.3%
2/8=25.0%
1/8=12.5%

です。赤字部分はギャンが特に重視した比率です。
3、5、8、といった数字はフィボナッチ数に通じますが、ギャンはそれを意識していたわけではないようです。
フィボナッチで示したリトレースメントは以下の通りです。
ギャンが示す数値とは微妙に異なり、かつ、ギャンが愛用した数値のほうが、相場に合致しているようにみえます。

(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)

ギャンの「価値ある28のルール」(1)

ルール 1 「一取引でのリスクは資金の10分の1まで」
投資資金を10等分して、一回あたりの取引で被る最大損失額は、全資金の10分の1までにコントロールせよ。

ルール 2 「必ずストップロスを置く」
ルール1で想定した10分の1の損失額で確定させるよう、ストップロスオーダーを必ず入れておくこと。

ルール 3 「過剰なポジションの禁止」
ルール1に同じ。資金と損失額のコントロールを忘れてはならない。

ルール 4 「儲けを損失に変えない」
ルール2で置いたストップロスを放置せずに、利が乗ってきた時点で必ず損失回避のオーダーに変更しておくこと。

ルール 5 「トレンドに逆らわない」
逆張り厳禁。チャートを見て、トレンドに乗った取引に徹底すること。

ルール 6 「迷ったら休む」
相場の動きが見えない、疑わしいときは、決して取引しないこと。休むも相場。

ルール 7 「生きた相場で取引せよ」
売買が活発に行われ、ある程度のボラティリティが確保された相場でなければ、取引してはならない。

ギャンの「価値ある28のルール」(2)

ルール 8 「リスク分散せよ」
1銘柄に集中した取引を行わないこと。リスクの過度な集中を避ける。

ルール 9 「指値の禁止」
ストップロスのような逆指値は構わないが、利益確定や損失確定のための注文をわざわざ指値で出すということは、値が届かなかった場合に大きな損失を被る場合があることから、これを禁止する。

ルール 10 「ルールなき手仕舞いの禁止」
理由なくして手仕舞ってはならない。
投資家の臆病な心に支配された取引を禁止する。利益はストップロスオーダーで守ればよい。

ルール 11 「利益は温存せよ」
取引で得た利益は別途温存し、取引金額に上乗せさせてはならない。
一取引での損失額が増大することを避ける。

ルール 12 「せこい売買はするな」
配当目当てや、僅かな利益追求のための取引をしてはならない。
大きく儲けて小さく損することを目指すべき。

ルール 13 「ナンピンの禁止」
相場が予想とは逆に動いてしまったにも関わらず、深追いして損失額を増大させるような取引をしてはならない。
購入単価を引き下げて有利に回れるのは無尽蔵な資金をもつ大金持ちだけである。

ルール 14 「相場を待て」
動かぬ相場に我慢できずに手仕舞ったり、待ち切れずにポジションを建てたりしてはならない。

ギャンの「価値ある28のルール」(3)

ルール 15 「利小損大を避ける」
小さな利益で思わず手仕舞ったり、挽回を狙って大きな損失を抱えることほど愚かな取引はない。
逆のトレードこそが勝ちパターンである。

ルール 16 「ストップロスを外さない」
そのときどんなに勘が冴えているとしても、ストップロスオーダーを外してはならない。
トレーダーを不運から守る唯一の手段はストップロスである。

ルール 17 「頻繁な売買の禁止」
市場に張り付いて取引に没頭していると、大局観を失い、トレンドすら見失う可能性がある。大きな利益を追求するためにも、頻繁な取引に意味がないことを知る必要がある。

ルール 18 「売り買いいずれも活用せよ」
トレンドに追随することが利を伸ばす最良の手段。下降トレンドであるならば、躊躇せずから売りしなければならない。

ルール 19 「値段を記憶するな」
高値覚えや安値覚えを禁止する。値ごろ感から、買ったり売ったりしてはならない。

ルール 20 「ピラミッディングのタイミング」
レジスタンスラインや、サポートラインを突破するなど、相場に勢いがつくサインがでてから買い増しや売り増しを行わなければならない。
早すぎる仕掛けは危険を伴う。

ルール 21 「ピラミッディングの対象」
相場に勢いがあるものを選んでピラミッディングを行うこと。
銘柄によって相場の流勢いに差があるならば、より強い動きを示しているものに乗るべきである。

ギャンの「価値ある28のルール」(4)

ルール 22 「ヘッジの禁止」
売り買いを混合したポジションを持たない。股裂き(相場がそれぞれ逆方向に向かい、いずれのポジションでも損失を増大させてしまうこと)にあう可能性があり、危険である。先が読めない相場でわざわざポジションをもつ必要はない。
その時点で手仕舞うべき。

ルール 23 「明確な理由に基づいて取引せよ」
明確なルール(取引シナリオ)を策定し、それに従って取引しなければならない。
途中で自らの心に負けて取引ルールを変更してはならない。

ルール 24 「やすやすと取引金額を増やさない」
元手が2倍になるくらいに儲けてから、取引金額を増やすこと。
永遠に勝ち続けることはない。頭は冷やせなくても、儲けた金はしばらく冷やせ。

ルール 25 「相場の天底を当てようとしない」
相場の天井も大底も、後々になって相場が決するものであって、事前に推量してはならない。トレンドに従うことだけを考えていれば、利益はあとからついてくる。

ルール 26 「セールスマンの助言に従うな」
自分よりも知識の劣る人間の投資助言に耳を傾けてはいけない。
証券セールス万の多くが一般投資家レベルの知識しか携えていないことは明白である。ニュースや噂にしても同様である。

ルール 27 「損切り後は取引量を縮めよ」
負けを取り返そうとして取引量を増やす行為ほど愚かなことはない。
もしも3回連続で損をしたら、残りの資金量を10等分して、一から出直すべきである。

ルール 28 「不適切な売り買い手仕舞いの禁止」
ルールに従って買いまたは売り、ルールに従って手じまうこと。
間違った取引による利益は後の損失を生み、正しい取引による損失が後の利益を生み出す。すべてはルールに始まり、ルールに終わる。

実践編-レジスタンスラインの存在

ドル円の週足に、ボリンジャーバンドとギャンアングルを加えました。
移動平均線の位置と、高値をつないだレジスタンスライン、ギャンアングルのラインが、それぞれほぼ同一線上に存在しています。
いまのドル円の上昇が、93円近辺まで続いたとしてもおかしくないことが想像できます。

たまたま3つのラインが揃いましたが、それによってその予想が強固になるわけではありません。
どれか1つによる確信と、3つの指標による決断は、同じ結果を呼び込みます。
買いたいという気持ちが先に存在すると、余計な分析を重ねて決意を固めていこうとするだけです。
ギャンアングルをみて、上値余地があることを知れれば、まずは十分です。



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