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ストキャスティクス

1.3つのライン

ストキャスティクスは、1950年代にジョージ・レインが開発したオシレータ系のテクニカル分析で、近年になって注目度が高まっています。
ストキャスティクスは、3つのラインを用いて分析します。

■ %K : 直近の終値が一定期間の価格帯の中でどの水準にあるか
■ %D : %Kの3日間の平均
■ Slow-%D : %Dの3日間の平均

なお、参照期間としては、9日間を採用することが多く、 他には5日や14日などが使われています。(週足では9週や14週など)

%Kは、過去9日間の高値と安値の幅の中で、どの位置にいるのかを示したものになります。
過去9日間の最高値で終値を迎えた場合は100%に、過去9日間の最安値で終値を迎えた場合は0%になります。

その数値(%)の直近3日間を平均したものが%Dで、%Dをさらに3日間平均したものがSlow%Dです。

では、それぞれのラインを描画したものを見てみましょう。
▼日経平均のストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

その差がどれだけ有意なのかもわかりにくいほど接近したラインが
3本並んで動いています。わずかではありますが、早めに動いている赤線が%Kです。
次いで青線の%D、もっとも緩やかな動きをみせているのが緑線のSlow%Dです。

2.ファスト・ストキャスティクス

ストキャスティクスには、2つの見方があります。
3つのラインのうち、%Kと%Dの2つだけを取り出して分析するものがファスト・ストキャスティクスです。

以下のチャートには、先ほどの3つのラインからSlow%D(緑線)を外して、ファスト・ストキャスティクスによる分析を示したものです。

▼ファスト・ストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

赤帯のところが買いサインになり、青帯のところが売りサインになります。
まずは%K、%Dともに、0%~100%のどのあたりに存在しているかが判断材料になります。
いずれのラインも20~30%以下の水準であればそろそろ買い場を迎えるチャンスと意識し、70~80%以上の水準であれば相場の過熱を警戒します。

上記水準に達していた%Kおよび%Dが、20%~80%の範囲に収まろうとする近辺で発生するクロスをサインとして活用します。

チャートを見るとクロスがたくさん発生していて、すべてのクロスに対処していたらダマシだらけになってしまいます。
トレンドが始まろうと(終わろうと)する動きを捉えた上で、サインを読み取るようにします。

3. スロー・ストキャスティクス

ファスト・ストキャスティクスの場合、特に%Kが日々敏感に反応を起こすために、 クロスが頻繁に発生してしまい、サインを明確に読み取りにくいという欠点がありました。
そこで、一般的には若干動きを緩めた、スロー・ストキャスティクスが利用されます。

スロー・ストキャスティクスでは%K(赤線)を除き、%D(青線)とSlow%D(緑線)の2本のラインを用いて分析します。
見方はファスト・ストキャスティクスと同じです。

20~30%近辺にあったストキャスティクスが上昇し始めるあたりでの、クロスで買い、 70~80%近辺にあったストキャスティクスが下降し始めるあたりでの、クロスで売り。

▼スロー・ストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

ストキャスティクスは、相場のトレンドが長く続くと、 80%以上とか20%以下といった水準に張り付いてしまいます。

一方で、ボックス相場での投資判断や、トレンド転換を知るための指標として ストキャスティクスは明確なサインを発します。

実践編 - %DとSlow%Dのデッドクロス

ユーロ円の日足チャートに、スローストキャスティクスを描画しています。%D(青線)とSlow%D(橙線)はともに上昇過程にあり、特に%D(青線)はほぼ80に達しています。この後、Slow%D(橙線)が追随して上昇し、やがてデッドクロスして下落サインが出るまでにはもう少し日数がかかると思われます。

それまでは買い継続、そしてデッドクロスかつ80のレベルを割りこんできたところで、売りに転換するという判断をします。ここから新規で買いにいくというよりは、売りのタイミングを待つほうが得策に思います。特に明確な上昇トレンドがない場合に、移動平均線近辺で無理な投資をする必要はありません。



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